08. 2月 2014 · サンバとラテンはちょっと違う はコメントを受け付けていません。 · Categories: 趣味の音楽, 音楽文化

hirota0501画像はこちらのサイトからお借りしました

 

ラテン音楽ってどこの音楽?

前回、ラテン音楽の話が出たところで、

もう少しラテンについて語ろうかなと思います。

といっても、私はラテンの専門家ではないので、自分の理解している範囲をシェアするに留まりますけれども。

ラテン音楽というと、一般的には中南米の音楽のことになります。

中南米はヨーロッパの国々が入り乱れて植民地化してきた歴史があるため、人種・文化ともにいろいろと複雑です。

もちろん音楽も、その背景の違いから様々なものが生まれています。

ラテン音楽を理解する上で重要なことは、この植民地と言語の問題です。

その違いによって、音楽性もずいぶん変わってきます。

ちょっと地域別に、代表的な国と音楽を挙げてみましょう。

まずは

・中米スペイン語圏
(メキシコ、キューバ、プエルトリコ、ドミニカ、ベネズエラ、コロンビア、など)

マリアッチ、ルンバ・マンボ・ソン・チャチャチャ、サルサ、レゲトン、メレンゲ、クンビア、などがこのエリアに由来する音楽になります。

日本で最も一般的に「ラテン」という認識をされるのが、これらの音楽です。

スペイン系白人音楽と、奴隷として連れてこられた黒人のアフリカ系音楽、さらに北米アフリカ系のジャズやソウルなどがそれぞれに様々な比率で混ざり合っています。

残念ながらこの地域は、原住民が早い時期にスペイン人によって全滅させられてしまったので、原住民系文化の影響はほとんどないようです。

 

・中米英語圏
(ジャマイカなど)

カリプソ、レゲエ、スカなど。

場所はカリブ海でキューバにも近んだけれども、英語であることが大きく違うので音楽性も大きく違います。

通常レゲエはレゲエというジャンルで扱われ、あんまりラテンとはいわないようです。

・中米フランス語圏
(ハイチ、マルティニーク、グアドループなど)

音楽はヴードゥー、ズークなど。

同じくカリブ海の島々で、フレンチ・カリビアンなどとも言われるようで、また独特の音楽文化があります。

特にハイチはアフリカ系の度合いが高いようです。

・南米スペイン語圏
(アルゼンチン、ペルー、ボリビア、エクアドルなど)

アルゼンチンといえばタンゴ。

そして、ペルー、ボリビア、エクアドルなどはいわゆる「アンデスのフォルクローレ」でとても有名ですね。

このあたりは、スペイン系と原住民系の混ざり合いのようです。

・ポルトガル語圏
(ブラジル)

サンバ、ボサノバ、ショーロなど。

唯一のポルトガル語圏です。ブラジルはポルトガル系、アフリカ系、原住民系、東洋系などさまざまな人種が混合して、音楽文化的にもたいへん豊かだといわれています。


■サンバはラテンじゃない!?

日本の音楽界では、ブラジル音楽は前述したラテン(スペイン語圏)音楽とは区別されることが多く、レコード屋さんでもラテンとブラジルはパッキリ分かれているし、ミュージシャンの分類も「ラテンの人」「ブラジルの人」と棲み分けがあるようです。

そう!サンバはラテンじゃないんですよ!!

みんな、なんとなくサンバってラテンだと思ってなかったですか?

微妙に違うんだなあ〜〜。

そして、サンバとラテンでは使う楽器も違います。

サンバで使う太鼓は、パンデイロ、スルド、タンボリンなど。

ラテンで使う楽器は、コンガ、ボンゴ、ティンバレスなど。


ですから、マツケン・サンバの

「たたけボ〜〜ンゴ!」はホントはおかしい、ということになります。

サンバでボンゴは叩かないし、アレンジもなんとなくサンバとラテンがうまく混ざっています。

 

でも、いいんです、それで。

日本人にとっての「南の明るく陽気なラテン」のイメージは、サンバとマンボとサルサがなんとなくミックスしたかんじ。

それがいちばんラテンぽく聴こえる、ってことを、作家の方もよ〜く知った上で作ってらっしゃるわけだから、これはこれで正しいと思います。

と、まあ、これは余談です。

へんな揚げ足とるつもりはないので、おいといて。


人種・文化混合の魅力

サンバも含めた、広い意味での「ラテン・アメリカの音楽」。

この最大の魅力は、先ほども書きましたが、人種と文化の多彩な混合にあると私は思います。

 

北アメリカでは、イギリス/アイルランド系白人とアフリカ系黒人の音楽が混ざって、ジャズ、リズム&ブルース、ロックンロール、などが生まれていきました。


カリブ海では、アフリカ系黒人直系のルンバ(社交ダンスのルンバとは違う、アフリカ由来の儀式的音楽)を元に、

スペイン系白人のヨーロッパ音楽と混ざり、

さらに北アメリカの混合音楽であるジャズが混ざり、マンボへと変遷していきました。

 

マンボは、キューバ系やプエルトリコ系が移民していった地であるニューヨークで、

さらに北アメリカ黒人音楽であるブルースの進化型、ソウルやロックと出会ってブーガルーとなり、

それがさらにサルサとなっていきました。


ブラジルでは、ポルトガル系白人とアフリカ系黒人の音楽が混ざってサンバになり、

それに北アメリカの混合音楽であるジャズが混ざってボサノバへ・・・・。


簡単に言っても、これだけの人種・文化混合が起こって豊かな音楽世界が広がっていることに、陶然としてしまいます。


現代ではさらに色々な国の新しい音楽がミックスされ、どんどん新しい混合音楽が生まれています。

 

混じり合った文化の強さと魅力。

私はそういうものにとても惹かれます。

その強さと魅力をまざまざと感じさせられたのが、私にとってはラテン音楽の世界。


歴史的な背景を見ると、とても痛みの深い土地でもあります。

まったく違う大陸から人間がやってくる植民地制。

その人達が、また別のまったく違う大陸から人間を連れてきてしまう奴隷制。

 

考えてみれば相当ムチャクチャなことをやっているわけだけれども、

だからこそ、ありえないような人種・文化混合が起こり、

たくましく多種多様なものを吸収して音楽文化が豊かに実ったともいえるわけです。

そのような人間の文化のたくましさというものに、

ある種の畏敬の念を私は感じざるを得ません。

 

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