25. 11月 2014 · 「CD不振、ライブ好調」の背景にあるもの はコメントを受け付けていません。 · Categories: 音楽文化

The Cure Concert 2

 

■生演奏に人が流れている

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音楽業界がダメだダメだと言われているようですが、

実は、ダメになっているのはCDや録音音源の売上であって

ライブ/コンサート市場の売上は、ここ数年どんどん伸びているのだそうです。

つまり、生演奏の音楽に人が流れているということ。

椎名林檎さんも先日「CDはもうダメ。やっぱり生でしょ」と発言したとのことですが、

ほんとにそうだと、私も思います。

 

なぜこうなっているのでしょうか。

もちろん、音楽をCDという物体を介さずに

ネットでダウンロードするのが主流になったということもあるでしょう。

 

でも私は思います。

メディアの変化という以上に、

そもそも今の録音音楽というもの自体に魅力が無くなっていることも、要因なのではないかなーと。

 

■直しまくりの音楽

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なぜなら。

今の音楽はほとんどが初めから機械で作られているか、

もしくはかなりの部分を機械で加工しまくって完成されているからです。

全く人間が演奏することなく、最初から最後までコンピュータで作り上げることも容易です。

 

人間が演奏したり、録音に多くの人が関わると

スタジオ代も人件費も時間もかかります。

機械なら、作る人は一人で済み、安く早くできるということです。

機械なら間違えないし、文句も言わないし。

2小節データ作ったら、あとは全部コピペ、コピペ。

 

歌や演奏、確かに人間もやるけれど

歌だって全部直せます。音程もリズムも抑揚も声質も。

楽器の演奏だって、間違えてもキレーイに直せる。

おんなじフレーズは一回やっとけば、あとは全部コピペでよろしく。

 

ザラつき、バラつき、

ちょっとのズレ、ちょっとのデコボコまで

あとで直して直して。

整えて整えて。

いじっていじって。

ココとソコ、切って、貼って、つないで、よろしく。

 

ツヤ出して、パワー出して

ガツンとさせて、トンガらせて

盛り上がり作って、インパクトつけて

音量揃えて、仕上げよろしく。

 

アラなく、スキなく

ズレなく、ユレなく

突っ込みどころなく

文句のつけようもなく

ハイ、キッチリ仕事しました!

製品として完璧!

 

・・・っていう音楽にね、

実はみんな疲れてるんじゃないだろうか。

 

■人はなぜ音楽を求めるのか

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そもそも、人はなぜ音楽を求めるのか。

生きるエネルギーを感じるためじゃないだろうか。

人間の生(なま)の命に触れるから、力を感じるんじゃないだろうか。

 

おんなじフレーズを

肉体を持った人間が延々と繰り返して弾いている・・・

その繰り返しの中に宿るエネルギーが、グルーヴなんじゃないだろうか。

生きてる人間が汗水たらして弾いているから

ありがたいんだよね。

クリック一つでコピペしたものを聴かされたって

ありがたくもなんともないわね。

 

そして、それを弾いていたり歌っていたりする人間は

それができるようになるために、どれだけの歳月を費やしているのか。

どれほど自分と向き合って力を磨いてきているのか。

そこには何十年分の汗と涙と、量り知れない思いがこもっている。

だから、感動するんだよね。

 

一発勝負の演奏で、

緊張とワクワクのせめぎ合いの中で勝負をかけている

その気概がこもるから、パワーが伝わるんだよね。

 

そういう、人間らしいエネルギー、命の力。

音楽はそれを乗せていくものなんじゃないだろうか。

人は、それを感じたくて音楽を求めるんじゃないだろうか。

 

音が並んでいるのが音楽なんじゃない。

人間の命の力が乗っているから、音楽が音楽として命を持つ。

 

私は、そういう音楽の力を信じています。

 

■音楽と食べ物は似ている

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機械で作り込みすぎた音楽のことを思う時、

私は食べ物に例えたくなります。

それはまるで

添加物いっぱいの工業生産の食品です。

 

安く、効率よく、均質に、大量に。

ホンモノはお金がかかるから、合成で。

素材は適当なモノでも、薬品で色々できる。

 

野菜も動物も

ちゃんと育てると時間がかかるから、促成で。

ちゃんと作ると手間がかかるから、加工して。

薬品ガンガン使って。

栄養はたいしてなくても、とりあえず形はキレイ。

霜降りだって作れます。

すばらしい技術力。

 

ほら、似てる。

 

でも、私たちは知っています。

時間をかけて、手間ひまかけて

ちゃんと育てた野菜や動物、天然で育ったお魚のおいしさを。

余計なことはせずに

素材のおいしさをそのままいただくことが

いちばんの贅沢であり、

自然の命をありがたくいただけるものであることを。

そういう食べ物こそが、心を満たし

健全な命を育むものであることを。

 

■魂が充足する音楽

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音楽は心の栄養だから。

やっぱり、合成と促成と加工だらけのモノでは

魂が充足しないんです。

きっと無意識にね。

 

だから、ライブ。生の音楽を求めるんじゃないだろうか。

生の人間の命を感じたくて。

ちゃんと命の宿った音楽に触れたくて。

 

それが、今の

「CD不振、ライブ好調」の背景にあるのでは、

というのが、私なりの考察です。

 

養殖や合成や添加物まみれの食品が蔓延するほど

天然物のありがたみが増すように

 

機械で作る音楽が進歩すればするほど

きっと、生の演奏のありがたみは増すでしょう。

 

私はそんな気がしています。

 

 

 

 

 

 

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